本研究では,自己及び外的対象への過度な注意の持続が不安・抑うつに及ぼす影響を検討した。その際,不安と抑うつが現象的に併存しやすい点を考慮し,不安と抑うつの識別に配慮がなされた不安・抑うつ尺度を用い,不安と抑うつそれぞれを統制して分析を行った。対象は大学生271名(男性128名,女性143名)であった。偏相関分析及び重回帰分析の結果,自己没入は不安と中程度の関連が見られた。また,外的没入と不安・抑うつとの間には関連が見られなかった。以上の結果を基に,自己没入と不安の持続期間との関連や,外的対象に注意を向ける際の意図と不安との関連について考察を加えた。