本研究では,感情コーピング尺度(Emotional Coping Questionnaire)の特性版を開発し,ストレッサによって生じた怒りと落胆両感情に対する感情表出によるコーピングが測定可能な尺度の開発を目指した。研究1では,717人の大学生に調査を実施し,他者依存的感情表出と独立的感情表出の2下位尺度が抽出され,構成項目の内的整合性と因子的妥当性が確認された。研究2では,74名の大学生を対象に,5週の間隔で2回の調査を行い,その結果,高い検査―再検査信頼性が示された。また研究2では同時に,50名の大学生を対象に,仲間評定法を用いて構成概念妥当性を検証した。しかし,妥当性は確認されず,今後の課題について論議された。