本研究では,大学生を対象に,自らの攻撃性の高低によって,他者に対する印象形成に違いが見られるのかどうかを検討した。また外顕性攻撃と関係性攻撃の2種類の攻撃タイプを取り上げ,自分自身が示しやすい攻撃タイプや仮想人物の示す攻撃タイプが,その仮想人物に対する印象や評価に関係するかどうかも検討した。研究1では,大学生132名を調査対象に,外顕性攻撃と関係性攻撃の自己報告尺度を作成した。研究2では,大学生245名を調査対象に,攻撃性の質問紙調査と印象形成課題を1週間の間隔をおいて実施した。その結果,攻撃性の高い個人は,自分と類似の攻撃を示す人物をポジティブに,自分とは異なる攻撃を示す人物をネガティブに捉える傾向を示した。しかし外顕性攻撃と関係性攻撃の両高群は,関係性攻撃を示す人物の敵意性を高く評定するとともに,怒りや抑うつを強く感じており,総じて関係性攻撃を示す人物をネガティブな方向に捉える傾向を示した。