本研究は,青年期の愛着スタイルと感情調節ならびに対人ストレスコーピングとの関連についての検討を行った.研究1では大学生460名を対象に,青年期の愛着スタイルと感情調節との関連を検討した.その結果,安定型愛着スタイル傾向は,感情の表出性や感受性と正の関連を,反対に,アンビバレント型傾向は,それらと負の関連性を示していた.また,愛着次元からの分析では,“関係不安”は,感情の感受性に,“親密性回避”は,表出性にネガティブな影響を与えていた.さらに,統制については,それら2次元軸の交互作用が見られ,“関係不安”が低い場合に“親密性回避”の影響が認められた.研究2では,大学生393名について,青年期の愛着スタイルと対人ストレスコーピングとの関連について検討を行った.その結果,安定型傾向は,ポジティブ関係コーピングと正の関連を,ネガティブ関係コーピングとは負の関連を示しており,不安定型の愛着傾向は,ネガティブ関係コーピングと正の関連を示していた.愛着次元からの分析では,“関係不安”の影響は,ネガティブ関係コーピングおよび解決先送りコーピングにおいて見られ,“親密性回避”の影響は,ポジティブ関係コーピングで認められた.これらの結果について,幼児期と青年期の愛着スタイルの概念的な対応性の観点から議論を行った.