格付け会社が行っている国債の格付けを統一的に再現するモデルを作成するために,2011年4 月末時点での158カ国の国債格付けと44種の経済・政治指標との相関をサポートベクター回帰 (SVR)により一括解析する大規模実験を行った.感度分析により有効な指標を選択し,SVRを最適化した結果,格付けの予測値と設定値のよい一致(平均二乗誤差0.070,決定係数0.925)が得られ,格付け会社が行っている国債格付けを公開の数値データのみから高精度で再現するモデルを作成することができた.解析に用いた各種指標の中では政治指標の寄与がきわめて高いことから,格付け会社が政治的要因を重視していることが判明した.我が国の国債の格付けについては,国内の格付け会社が高目の評価を行っているのに対し,海外の格付け会社は我が国の債務超過を大きく評価して厳しい格付けをしている傾向が明らかになった.格付けと指標との相関は非線形性が高いことから,国債の格付けを再現するモデルを作成するためには,感度分析により有効な指標を選択し,SVR等の非線形解析手法を用いることが不可欠であることが分かった.