本研究では,音楽評論家によって語られる作曲家の概念的特徴とそれらの関係を明らかにするために,作曲家に対する感性的表現を計量的に分析した.データは音楽評論雑誌『ポリフォーン‐音楽評論の開かれた場』のテキスト全13冊を対象とし,最も多く語られる7名の作曲家(出現回数が多い順に,モーツァルト,ベートーヴェン,ワーグナー,マーラー,J.S.バッハ,ドビュッシー,シェーンベルク)を形容する感性的表現,語彙レベルで用いられる頻出感性語とその用法の特徴を解析することで,作曲家概念の感性的要素を精緻に特徴づけた.