本稿は,これまでの灰色文献をめぐる動向について灰色文献の現状と課題の整理を行いながら,論考するものである。特に,インターネットの普及は,資料の多くが電子化されWeb上で公開される機会が増加するという流通の面だけでなく,灰色文献の範囲や灰色文献そのものの在り方にも大きな変化をもたらしつつある。本稿ではまず,灰色文献の概略を説明し,その特徴,定義,範囲について整理する。加えて,灰色文献国際会議における議論を中心とした世界的な灰色文献の動向について触れる。最後に,灰色文献への現場の取り組みとして日本原子力研究開発機構図書館の事例について,紹介する。