情報社会における図書館の運営方針は,必ずしも明確になってはいない。本稿は,大学図書館の領域で多く展開されているインフォメーション・コモンズを公共図書館に焦点をあて論じようとする。そのためにまず,「共有資源」に関するコモンズの理論において,情報共有のための社会的装置としての図書館がどのように位置づけられるかを確認した。またデジタル化の進展が「デジタル・ジレンマ」といった現象をもたらした状況を把握し,その上で,デジタル資源にも対応できるインフォメーション・コモンズの整備について,公共図書館における現状と今後について言及した。