イノベーションが先進国でのキーワードとなる中,学術論文情報の流通のあり方を考察した。情報発信の費用を専ら利用者が負担する現行の流通システムの中で,わが国の図書館は購読するタイトル数を半減し,機関間での情報格差が拡大している。すなわち,論文情報の電子化が進んでいるにもかかわらず情報の流通性は向上していない。一方,より自由な研究成果の流通を目指すオープンアクセスは,著者のみが費用を負担するという不合理性がある。そうした中で,受益者負担の原則により忠実なビジネスモデルを提案し,想定される著者,利用者それぞれの負担を,日本化学会の論文誌をモデルにシミュレーションをした。