紙とディスプレイの長所を共存させた快適に“読める”媒体として電子ペーパーが注目され,実用を目指した開発が精力的に進められている。本報告では,電子新聞・電子本などへの適用が期待されるこの新しい電子メディアに対する多様な期待の方向性についてまず整理を示す。そのうえで改めて電子ペーパーのねらい,実現形態,技術開発の現状,応用用途の見通しについて概説する。また電子ペーパーの目指す読みやすさに関する基礎研究として,ディスプレイ作業と紙上作業の差異に注目し,その作業性や疲労度について被験者を用いて定量評価を行った結果を紹介し,得られた知見についても述べる。