本稿は第37回科学技術週間行事の一環として行われた科学技術講演会を編集し、収録したものである。科学の発展を3期に区分し、科学環境の変化を考察した。17世紀の第1期はニュートンなどが活躍したが、すべての知的営みは神学的環境のもとに行われたため「前科学期」と位置づけ、現在の常識的な科学像である「プロトタイプの科学」(第2期)は19世紀になって初めて誕生したことを例証するとともに、現代は第2期から第3期の「新しい科学」への移行期であるとした。そしてこの「新しい科学」はその有用性のために社会と密接に関わらざるを得ず、科学者にとって新しい責務が発生すると同時に、社会の側も科学を理解しチェックする能力を持つべく、様々な面での変革を迫られていると説いた。