日本大企業の情報管理体制の特徴を,各種の実態調査,現状報告などをもとに概括し,米国企業及び一部の欧州企業の情報部門の組織と運営と比較してその長所と短所とを分析した。日本企業の情報管理体制は,フォーマルな組織形態は欧米の大企業と同じであるが,その実際の運用方式はこれとはことなる独自性を有している。日本企業は近年の情報技術の普及,ネットワーク化,国際化などにより強いインパクトを受けているが,その中で情報管理部門がどのような変化にさらされているのか,変化しにくい文化的·社会的要因に基づく独自の特徴と,より普遍的な特徴とは何かを考察した。日本企業の経験の中には,今後の世界的な情報指向組織に共通の問題も含まれている。