19世紀から20世紀への世紀の転換期は,科学技術の制度化の歴史においても大きな節目である。すなわち,19世紀後半に,研究と実験を重視した近代大学制度により覇権を握ったドイツの科学技術は,第一次世界大戦を契機として,衰退を始める。代わって,アメリカが,ヨーロッパ留学帰りの科学者たちの意識的な努力と民間財団の援助により応用から基礎研究へのシフト,基盤の整備に成功し,1930年代には,急速に力を持ってくる。今回は,この過渡期について,ドイツとアメリカ等主要の動向,アメリカの財団の活躍,国際研究会議の設立などを中心に述べる。