本稿は, 第22回日本科学技術情報センター丹羽賞の授賞式における特別講演の収録である。生物を一つの情報システムと見なし, その仕組みを説く。例えば, 遺伝子でたんぱく質をつくると, 出来たホルモン, 酵素といった「物」自身がすべて情報を持つ。遺伝子は動くことなく, 情報を持った「物」が体中を巡ることにより, 生物のシステムは動く。このような生命科学の視点から, 情報を「心」と「物」とを結びつけるものとして考え直す必要があろうと問題提起する。