まずはじめに, エレクトロニクスに支援された情報技術の進展の歴史を概観し, 高度に普及した情報の伝達, 処理技術に加えて, 光技術の参入で蓄積技術が高度化したことから, 情報管理の機械化に人工知能 (AI) の技法を適用する可能性が生じたことを指摘する。ついで, AIの特質として, 心的世界の問題を扱いながら実証的であることを第一とすること, そのためにコンピュータによる実証実験を用いることなどを述べる。また, その理由で, AIが扱う知能は言語表現されるものが主体であり, そのため論理的実証が主な道具であることと, そのことから帰結する方法論的制約について述べる。さらに, AI的である条件として, 構造化し難い問題を扱うべきこと, そのために思考と推論, 記憶と知識表現の問題を奥深く研究すべきことを指摘する。最後に, 情報管理へのAIの適用の問題に触れ, エキスパート・システムの可能性, 検索質問の処理と文献知識ベースの必要性について述べる。