冊子体二次資料の購入を中止して, 検索手段をオンラインデータベースに求めようとする動きは, 移行 (migration) 現象と呼ばれ, わが国でも関心を集めつつある。この現象の有無とその背後にある要因を明らかにするため, 1983年に行ったアンケート調査を基に, 冊子体利用の現状と将来をオンラインとの関連で考察する。調査対象は大学図書館46, 企業・官公庁図書館80である。冊子体の購入を中止したことのある機関は52で, 情報サービスの縮小, オンライン化が主な理由である。大学図書館ではデータベースと冊子体の併用, その他の機関では前者の利用が主となっている。今後の両者の関係については, オンラインへの完全移行を挙げる機関はわずかであり, わが国で近い将来, 移行現象が顕著になるとは思われない。