以上の結果をな考察すると次の通りである。 1).交配は昭和22年に施行し,其の主なる樹種に,アカマツ,クロマツ.テイダマツ,大王松である。 2).交配の目的は生良好で然も松喰虫等の虫害の抵抗性品種養成を意図したのである。 3).交配の成績は邦産マツ類を母方として父方に外国産テイダマツ,並に大王松な交配したものは結局不成功に終つた。 4).幾組かの交配中,母方テイダマツにアカマツを交配したものは毬果並に種子な得る事が出来た。 5).此のテイダマツ,アカマツの毬果形状比については雑種は両親の中間に表れた。 6).種子の大さ,形状比並に1000粒当りの重量総べて雑種は両親の中間型に表現した。 7).翅の大さ同形状比については雑種は母方テイダマツに比し大なる結果を示した。 8).雑種の播種床に於ける稚苗の生長は母方テイダマツ最も大で父方アカマツ最も少さく,その中間となつた。 9).雑種の針葉の長さも両親の中間長を示し,三葉四葉の出現率については母方テイダマツと対比すれば雑種は三葉の出現率減少し,四葉は之に反し増大した。 10).針葉の色は本年3月末調査でアカマツ最も濃紫緑色雑種は幾分淡紫緑色な帯び,母方テイダマツは略んど緑色か呈してゐた。 11).葉の横断面の組織特に樹脂孔の観察では雑種は母方と別段の判別は出来なかつた。 12).新芽の色は母方テイダマツ淡緑褐色又は緑色で,アカマツは濃緑褐色,雑種は此の中間色の傾向が見受けられた。