1. 東京都南多摩郡廿里御料地(アカマツ,モミ天然林,ヒノキ人工林二ケ所,クリ,カシ人工林,カシ人工林),高尾御料地(スギ人工林,モミ天然林),木曾御料地(ヒノキ天然林三三ケ所)の森林土壌を探集し, Ao層0~2cm, 2~5m, 20cmの四暦に就き繊維素分解菌の有無及其の多少を調査した。因に好氣性培養にはDnboe氏培養基を,嫌氣性培養にはOineliansky氏培養基を用ひ,稀釋法を用して操作した。 2. 好氣性繊維素分解菌は森林土壌中に相當多数存在する事が認められ,落鑛分解に關輿する事少なからざるものと愚考される。嫌氣性繊維素分解菌は上記の培養基上にほ殆んど認める事が出來なかった。 3. 好簿性繊維素分解菌の土壌深さ別の分布は森林樹種(落鑛成分)其他の因子に依り左右されるも概してAo層及0~2cm層に最も多い。 4. スキご林土壌では20cm層にも相當量の分解菌を認め得ざるか或は極めて少ない。 5. ヒノキ林土壌では分解菌は表層部に限られ且敷量も少なく,特に木曾御料地にて探集せる亀のは濾紙を切斷するに至らず,繊維素の分解力も微弱で恐らく林塊に於ても落鑛分解に關輿する作用は錫いと思ほれる。 6. 林地土壌酸度の張い場合には繊維素分解菌の数は減少する傾向がある。 7. 上記培養基上に(スギ林土壌以外)絲駅菌を見た。繊維素の分解に關與するものと思考されるが此等の絲状菌が主として分解に興つてゐるとは判定田來なかつた。