1. 本報は強化木及積層材の耐腐朽性を實査し更に其の原因に就て研究を試みたものである。 2. 強化木及積層材の腐朽試驗は1.3cm立方の試片を豫め醤油培養基に培養せるPoria vaporaria Fr.の菌絲膜上に挿入し,適温適濕の下に約1ケ月置き腐朽せしむると同時に普通材(マカバ無處理材)を全一處理して前者と對比した。 3. 木材腐朽程度測定の標尺は木だ確定してゐないので,本報に於ては絶乾重量の減少を一應基準とした。 4. 強化木及積層材の樹種及製作條件等は第一報に掲上せる通りである。 5. 腐朽菌接種前後に於ける強化木及積層材試片の重量減少率を普通材と比較掲上すれば 強化材 47.44% 積層材 1.26% 普通材 0.54% の通りにして,尚フラスコの底面に對し合成材の膠着面を平行せしむる如く挿入したる場合と垂直ならしめた場合との間に殆んど差異を認め得なかつた 6. 叙上の如くPoriaに對して強化木及積層材が腐朽現象を呈さない原因は之等合成材の冷水抽出處理に依て遊離する成分に存することを確かめ,其の成分の内,殺菌性ある物質として次の物質を確認しだ。 a. フエノール b. ヘキサメチレンテトラミン