本研究は,大学図書館のサービス品質に対する顧客の評価局面を明らかにするものである.マーケティング理論及び実務の両面でサービス品質評価の議論をリードしてきたSERVQUALのギャップ理論に基づき,英国とフィンランドの各1大学,日本の2大学図書館においてサーベイ調査を実施した.図書館サービスにおいては,サービスのプロセスだけでなく成果としての情報の入手が重要であることから,図書館サービスの特性に対応する内容を質問項目に盛り込んだ.調査データの探索的因子分析及び検証的因子分析から,SERVQUALの場合(有形性,信頼性,応答性,保証性,共感性)とは異なるサービス品質の4局面 (職員,「場」としての図書館,コレクション・アクセス,組織)が明らかとなった.