近年,地方分権の進展,行政経営の効率化,住民との協働による地域づくり等の要請を背景に,官民の役割分担の見直しが行われる中で,営利企業と並びNPO(non-profit organization)が新たな経済主体としての役割を期待されている.NPOの活動実態・特性については,ミクロベースでは,近年様々な調査研究等がなされ,メディア,著書,論文などを通じて,一般に多数紹介されているが,マクロベースでの把握・推計については,情報および研究蓄積共に非常に少ないのが現状である.本論文では,こうした現状を踏まえ,「NPO分析用産業連関表」を初めて試作することを通じて,その経済活動のマクロ的把握・分析を試みた.具体的には,初めにNPO活動を明示的に分析することができるNPO分析用産業連関表の作成方法について論じ,作成したNPO分析用産業連関表を使ってNPO部門と他産業部門との生産規模,取引構造の特性等の比較を行った.更にNPO活動の将来的なシミュレーション分析を試み,最後にこうした推計・分析を踏まえて,NPO活動のマクロベースでの把握・分析にかかる今後の課題について論じた.