染料熱転写記録方式は, 優れた色再現性と滑らかな階調再現性において, 最も銀塩写真に近い存在として知られているが, 劣悪な耐光性と熱に対する貧弱な定着性という大きな問題を有している。我々はこの問題に対し, アゾ色素と金属カチオンとのキレート形成反応を利用した,「キレート型染料熱転写方式」を開発した。本研究では耐光性の向上要因について検討を行い, キレート形成により色素自身の物性が変化することと, 中心金属の抗酸化活性により耐光性が向上していることを明らかにした。