メチン鎖のα-位にフッ素原子を置換した新規なシアニン色素を合成し, これら色素の吸収スペクトル, 酸化還元電位を測定して無置換色素と特性比較を行った。F置換色素は溶液吸収極大が25-30nm長波長シフトし, 分子吸光係数を低下させ, 半値幅が広がったスペクトルを与え, 色素の酸化電位を卑に, 還元電位を貴にシフトさせた。また, 漂白定着溶液と安定化溶液中の色素消色反応を加速させる一方で, ハロゲン化銀乳剤への吸着を低下させた。これらの新規色素は対応するメチン基無置換色素に写真特性が近似した分光増感能を有していた。