ゼラチンにアリル基を導入したアリル化ゼラチンを用いてポリ乳酸への固定化を試みた。種々な反応条件と固定化率との関係を調べ, 種々な手法によって得られた複合体の特性化を行った。固定化方法は開始剤を含んだアリル化ゼラチンをジメチルスルポキシドで膨潤させて, ポリ乳酸フイルム表面上で界面重合させた。溶媒はアリル化ゼラチンと重合開始剤のみを溶かす有機溶媒で行うことを特徴としている。最適な反応時間, 温度, および開始剤濃度はそれぞれ, 4時間, 80℃, および10mMであった。ゼラチンのエステル化率が低いと, フイルムは淡黄色の透明となり, 内部層でも共重合を, また一方エステル化率が高くなると, フイルム表面で不溶性のゼラチン層が形成されて単独重合が主体となった界面共重合が起きることがわかった。エステル化率が40%, および80%の時, 固定化率はそれぞれ約10%, および60%となり, ポリ乳酸フイルム表面上に, 耐水性や固定化量の制御が可能なゼラチンの簡便な固定法が見出せた。