マルチチャンネル分光測光法により臭化銀・ヨウ化銀混晶粒子形成の初期過程を研究した。種々のハロゲン化物組成混晶試料の吸収スペクトルの経時変化をそのハロゲン化物組成と対応させて検討した。均一なヨウ臭化銀相を形成する組成よりやや大きい割合でヨウ化銀を含む混晶試料 (Agl: 50mol%) は, 粒子形成のごく初期において純ヨウ化銀クラスターに特徴的な407nmにピークを持つ吸収を示さなかった。このことから粒子形成開始直後の不安定な混晶クラスター中には純ヨウ化銀相は存在しないと結論した。ヨウ化銀形成時の試料液中に過剰イオンとして臭化物イオンが共存すると, ヨウ化銀クラスターの成長がその影響を受けることがわかった。これは生成したクラスターに吸着するイオン種の違いによるものと考えられた。