写真の色素増感の電子移動機構を確立する鍵の一つとなったAgBr/色素界面の真空準位シフトに対して前報で提案したモデルを具体化し,定量的に検証した.その結果,色素分子中の①双極子の界面への配向と②硫黄原子の孤立電子対の配位によるAgBr表面のキンク位の銀イオンの割合の増加が界面に互いに反対方向の電位差を及ぼし,①が②を凌駕して真空準位シフトをもたらしていることが分かった.この結果は有機層と金属以外の基板との界面での真空準位シフトの機構の一例を提供したものと考えられる.