女子大学生139名のビタミンB6栄養状態について調べる目的で, 自記入方式による食事調査ならびに尿中4-ピリドキシン酸 (PiA), キサンツレン酸 (XA) 排泄量を調べた。食事調査の結果から, ビタミンE, ビタミンB6, ビタミンCが第六次改定日本人の栄養所要量を下回っており, その充足率はおのおの93, 83, 81%であったが, 他のビタミン類は所要量を上回っていた。被験者139名のビタミンB6摂取量は1.00±0.37mg/日, タンパク質当たりのビタミンB6摂取量は0.018±0.005mg/gであった。被験者のそれぞれの体重から個人別タンパク質栄養所要量を計算し, ビタミンB6所要量の策定に採用された生体利用率75%と0.014mg/gの値を用いて, 個人別ビタミンB6必要量を, それを1.2倍して個人別ビタミンB6所要量を算出し, これらの値を用いて, 被験者を3群に分けた。すなわち, ビタミンB6摂取量がこの必要量を充足できていない70人 (50%) をL群, 必要量は充足できたが所要量は充足できていない27人 (19%) をM群, 所要量を充足できている42人 (30%) をH群とした。その結果, L群のビタミンB6摂取量は0.74±0.22mg, タンパク質当たりのビタミンB6摂取量は0.015±0.004mgと3群の中で最も少なかった ( p <0.0001)。また, L群の尿中PiA排泄量は3.26±1.33μmol/日とH群より有意に低く ( p <0.05), XA/タンパク質は0.64±0.34μmol/gとH群より高値 ( p <0.001) を示した。