キノア ( Chenapodium quinoa Willd,) 種子 (玄穀) を組織学的に分画した。精米機は玄穀から果皮の除去に効果的であり, 一方精麦機は脱穀したキノア玄穀からの胚芽と外胚乳の分画に効果的であった。各画分の収率は, 果皮7.9%, 脱穀種子92.1%であり, その内胚芽23.2%, 外胚乳68.9%であった。各画分について, 走査型電子顕微鏡観察および栄養成分の定量を行った。外胚乳は炭水化物 (79.7g/100g) に富む組織であり, 胚芽は粗タンパク質, 粗脂質, 粗繊維, 食物繊維含量が他の画分に比べ最も多かった。果皮にはサポニン総量の67.6%が濃縮されており, その量は果皮重量の約8%を占めていた。フィチン酸もまた胚芽や外胚乳より果皮に多量に含まれ, その60.1%が果皮に濃縮されていた。これらの結果より, キノアの果皮, 胚芽, 外胚乳画分は, 化学成分の分布の特徴を活かした, 新しい食品素材として利用できることが期待される。