X線全身照射マウスの骨髄染色体損傷に対するビタミンC投与の影響について検討した。ビタミンC投与後の血漿・骨髄ビタミンC濃度は, 投与方法 (経口あるいは腹腔内投与) に関わらず2時間後で最大となり, 20時間後に元のレベルに低下した。ビタミンC濃度は血漿では投与後著しく増加したが, 骨髄では4g/kg体重の投与量でもわずかな増加しか示さなかった。この血漿・骨髄中ビタミンC濃度が増加する条件に基づき, ビタミンC (3あるいは4g/kg体重) 投与の2時間後にマウスにX線 (0.5, 1, 1.5Gy) を全身照射し, 末梢血を用いた小核試験法により骨髄染色体損傷を評価した。その結果, ビタミンCの単回投与はX線による骨髄染色体損傷を抑制しなかった。ビタミンCの抑制効果は, ビタミンC溶液 (20g/L) を飲料水として5週間継続投与した実験においても認められなかった。ビタミンCによるマウス骨髄染色体損傷の抑制効果が認められなかった理由として, マウスに過剰量のビタミンCを投与しても骨髄ビタミンC濃度が上昇しないことが考えられた。