本研究は, 各種食物繊維 (DF, 水溶性DFおよび水不溶性DF) によるラットの血漿コレステロール濃度の変動を観察し, BF以外の有効性DFを検索した。また, 盲腸内の短鎖脂肪酸 (SCFA) 量や糞中の胆汁酸量との関連性について検討した。さらに, 血漿コレステロール濃度の低下作用の強かったGGを in vitro で発酵させ, 得られた発酵産物を盲腸内に直接投与できる消化管施術ラットを用い, 血漿コレステロール濃度に及ぼす影響を検討した。その結果, 以下のことが示唆された。 1) コレステロール無添加の飼料条件でBF以外にGG, コンニャクマンナン (KM), ペクチン (PE) で血漿コレステロール濃度の低下が見られた。低下能の強さは5% GG>10% BF≅ 5% KM>5% PEであった。 2) 盲腸内総SCFA量もしくはプロピオン酸量と血漿コレステロール濃度との間には負の相関性が認められた (P<0.05)。しかし, 盲腸内酢酸量, n-酪酸量との間には相関性が見られなかった (P>0.05)。 3) 糞中の胆汁酸排泄量と血漿コレステロール濃度との間には相関性が見られなかった。 4) in vitro におけるGGの嫌気的発酵により, 1gのGG当り酢酸6.2 mmol, プロピオン酸1.2 mmol, n-酪酸0.8 mmolが生成した。 5) in vitro におけるGGの発酵産物をFF食摂取ラットの盲腸内に直接投与したが血漿コレステロール濃度の低下は生じなかった。