経営母体が同じ高齢者福祉施設で, 利用者の身体状況やライフスタイルに大きな相違のある特養 (80名, 82±7歳), 養護 (56名, 78±7歳) および軽費 (35名, 79±7歳) の女性利用者について, 利用者の栄養素補給における施設給食の役割を, 給食の摂取状況と間食や外食など自由食の実態から検討し, 以下の結果が得られた。 1) 現行栄養所要量に基づいて給与された給食のエネルギーの平均摂取率は, 特養, 養護および軽費でそれぞれ73.3, 73.5および68.0%の低値を示した。そのおもな原因として, 特養では現行栄養所要量に基づく給与エネルギー量の過剰が, 軽費では食事時刻や食事配分の設定に起因する間食摂取量の増加があげられた。 2) 生活活動レベルの上昇は, 1日のエネルギー, タンパク質および脂質摂取量に占める間食や外食などの自由食からの比率の増加と給食からの比率の低下をもたらし, 栄養素供給源としての給食の役割は, 利用者の生活活動レベルの上昇に伴い低下した。 3) 高齢者施設における給食サービスは, 利用者の身体状況やライフスタイルに対応して給与システムの改善が必要であることが示唆された。