1) ブタ小腸を20℃に保存すると, 半日から1日後に特異的な悪臭が感じられた。このとき一般細菌, 酵母, 嫌気性菌, 乳酸菌, 大腸菌群のいずれもが増殖指数期にあった。主要な揮発性成分であるMMは半日後には, またエタノールは1日後以降に著しい発生量を示した。 2) 新鮮ブタ小腸を高圧処理すると生菌数は激減し, その後の20℃下での保存において少なくとも1日間は新鮮な状態を維持できた。 3) ブタ小腸を嫌気状態で保存しても特異的な悪臭は軽減されなかった。 4) 抗菌効果の期待される数種の食品添加剤は, 高濃度では悪臭発生を抑制したが, 添加許可基準量では効果がなかった。 5) 悪臭の主要成分MMの発生量と嫌気性菌群数の間に高い有意な相関が認められた。 6) 高圧処理した新鮮ブタ小腸にブタ小腸由来の嫌気性菌群を接種することで悪臭の再現が認められた。 以上の結果より, ブタ小腸保存中に発生する悪臭が嫌気性菌の急速な増殖に伴って起こることが明らかとなった。