体重130g前後のWistar系雄ラットに, 正常食, ミネラル欠食およびマグネシウム欠食を与えて1週間飼育した。飼育最終日の直前16時間絶食してからマグネシウムを投与して, マグネシウムの吸収分布動態を検討した。 1) マグネシウム欠食では正常食に比して体重増はいくらか小さかったが, ミネラル欠食では, 体重は著しく低下した。 2) マグネシウム欠食で低下した血漿中のマグネシウムのレベルが, マグネシウムの投与によって著しく高くなった。 3) マグネシウムの吸収動態では, 腸からの吸収速度が血液および組織への分布速度より遙かに大きく, また投与量の増加によって吸収速度が増大し, 分布速度が小さくなった。 4) 投与したマグネシウムが広範囲に分布および蓄積した。 5) ミネラルの供給不足はマグネシウムの分布容積が小さくなる重要な原因であり, 大量のマグネシウムの投与は死亡の原因となるので, マグネシウムの補充は小量ずつ一定間隔で行うのが最も適当な方法である。