バィオリアクターを用いて, セルロースからセロビオースを主成分とするセロオリゴ糖を生産し, その消化吸収性および生体に及ぼす影響についてラットおよびヒトで検討した。その結果は以下のとおりである。 1) セロオリゴ糖は唾液アミラーゼ, 胃液, 膵臓アミラーゼによりまったく加水分解されなかった。しかし, ラット小腸粘膜酵素により部分的に加水分解され, グルコースの生成が認められた。 2) ラットではセロオリゴ糖負荷により血糖値の緩徐な上昇がみられたが, ヒトにおいては血糖値の上昇は認められなかった。一方, インスリンの追加分泌はラット, ヒトとも認められなかった。 3) ラットにおいて, セロオリゴ糖を単回投与しても糞便中への排泄は認められなかった。 4) ラットを高ショ糖食あるいはセロオリゴ糖添加高ショ糖食で4週間飼育したところ, セロオリゴ糖添加高ショ糖食群では, 高ショ糖食で飼育した対照群に比べ体脂肪率, 血清フルクトサミン, 総コレステロールおよび中性脂肪濃度が, 低値を示した。また, セロオリゴ糖添加高ショ糖食は血清総タンパク質, アルブミン, ALP, カルシウム濃度に影響を及ぼさなかった。 以上の結果から, セロビオースを主成分とするセロオリゴ糖は難消化性の糖類であり, 糖代謝に影響を及ぼし, 糖尿病や肥満予防に役立つ可能性が示唆された。