生体情報の一つであるHRを用いてエネルギー消費量を予測する24h-HRR法の基準値について, 成人男女 (20~69歳) を被験者として, 検討を行い次のような結果が得られた。 1) 対象被験者の睡眠時間は, 年齢, 性別, 職業を問わず, 平均値で450±51分であり, 1日の約30%を占めている。睡眠時間帯は, 24時間HRのトレンドグラフ上で判別がきわめて明確なうえ, 被験者の睡眠時HRの日変動は, 3.5±1.7beats/minと小さく, 24h-HRR法の基準値として利点が大きいことが明らかにされた。 2) 24h-HRR法によって, 1日の総エネルギー消費量を予測する場合, 基準値としてSHR-II (睡眠時約6時間のHRの平均値に1.2を乗じた値) を用いると, VO2/HR法によって得られたエネルギー消費量推定値に近似した値 (誤差, 1.9±5.6%) となり, 非常に高い正相関 (r=0.958, p<0.001) が得られた。 以上の結果より, 24h-HRR法における基準値として, SHR-IIを適用することは, 簡便で, かつ本法によるエネルギー消費量予測値の精度をより高めることになり, 基準値として最も妥当性が高いと判断された。