離乳直後のウイスター系ラットを固形飼料, 10%カゼイン飼料, および10%SPI飼料で3, または5週間飼育して, これらラットから調製した肝細胞を用いて以下の結果を得た。 1) 各種飼料で3, または5週間飼育したラットより単離肝細胞を調製しアリルスルファターゼ比活性を比較した。それらは固形飼料群ラットではそれぞれ約18mU/mg protein (3週間飼育), および22mU/mg protein (5週間飼育), カゼイン飼料群ラットではそれぞれ約25mU/mg protein (3週間飼育), および21mU/mgprotein (5週間飼育), さらにSPI飼料群ラットではそれぞれ約38mU/mg protein (3週間飼育), および37mU/mg protein (5週間飼育) となり, SPI飼料群ラットのアリルスルファターゼ比活性はカゼイン飼料群および固形飼料群に比較してそれぞれの期間で約2倍になった。一方, 同じリソソーム内酵素であるアリルアミダーゼ比活性は, 3週間飼育の固形飼料群およびSPI飼料群ラットから得た肝細胞間でほとんど差がなく, 5週間飼育ではアリルスルファターゼ比活性とは逆に固形飼料群の約50%に減少した。 2) 各種飼料で3週間飼育したラットより肝細胞を調製し48時間培養してアリルスルファターゼ活性に及ぽす低含硫アミノ酸培地の影響を調べた。固形飼料群およびカゼイン飼料群ラットから調製した肝細胞を, メチオニンおよびシステインを正常濃度の1/10の濃度に含むMEM培地, または, 含硫アミノ酸不含MEM培地で培養してもMEM完全培地と同様で, アリルスルファターゼ活性の変動は観察されなかった。しかし, SPI飼料群のラットから調製した肝細胞をMEM完全培地で培養するとアリルスルファターゼ活性は約20時間で約50%にまで減少するが, メチオニンおよびシステインを正常濃度の1/10の濃度を含むMEM培地, または, 含硫アミノ酸不含MEM培地で培養すると, 単離初期の活性以上の上昇は見られないものの, MEM完全培地に比較して高い活性が48時間維持された。