1972年から1990年までの近畿小児糖尿病キャンプ参加者で, 3回以上HbA1値を測定した18歳未満のもの107名 (男児43名, 女児64名) について, コントロール状態と発育および合併症との関係について検討した。 平均HbA1値は高値を示すものが多い, 年齢による差はみられなかった。発育状況は, 身長, 体重とも標準値を下回るものが多く, また身長, 体重のSD scoreも負領域で, 発育の遅延が示唆された。しかし, 平均HbA1値と身長, 体重のSD score, Kaup指数, Rohrer指数, PDWとの関係はみられなかった。 糖尿病性網膜症の合併率は平均HbA1値が高くなるとともに有意に上昇した。しかし, タンパク尿はコントロールとは関係がなかった。一方, 血清コレステロ ール値は, 平均HbA1値が高くなるほど有意に上昇したが, 血清中性脂肪値との関係はみられなかった。観察期間中の新たな糖尿病性網膜症の発生率はコントロ一ル状態の悪い群ほど高く, その差は有意であった。