血漿コレステロール低下作用物質をキノコ類から検索するための一環として, 11種類のキノコ粉末を高コレステロール食に5%添加してラットに2週間投与した後, 血漿と肝臓脂質濃度および糞中ステロイド排泄を測定した。 1) 11種類のキノコのうち, 7種類に血漿コレステロール低下作用がみられた。既報のとおり, シイタケの投与は血漿コレステロール濃度を顕著に低下させ, ニンギョウタケもシイタケに匹敵しうる強い作用を示した。 2) ニンギョウタケはシイタケとは異なり脂肪肝を引き起こさなかった。また, ニンギョウタケ中にはエリタデニンは検出できなかった。 3) ニンギョウタケの投与は糞中へのコレステロールおよび胆汁酸の排泄を促進し, これがニンギョウタケの効果に少なくとも一部は関与している可能性が推察された。 4) 以上の実験結果から, ニンギョウタケは血漿コレステロール低下作用を有する有用性の高いキノコであると考えられた。