トウモロコシ外皮から抽出, 分離した水溶性ヘミセルロース標品 (CBH) が, オロット酸投与ラットの血清および肝臓脂質に及ぼす影響を経時的に調べ, さらに, 他の食物繊維 (DF) 標品と比較検討した。 1) 血清中の脂質成分について, トリグリセライド, コレステロールおよびリン脂質は, オロット酸添加群が1週間後より低下し, 2週間後では, 標準群に比し有意差が認められた。しかし, 3週間後になると, これらの差はむしろ回復した。 2) オロット酸添加群は, 1週間後よりオロット酸添加による肝脂質の蓄積が確認されたが, CBH群は対照群に比べ有意に上昇を抑制した。その後, 2週間後においても肝脂質の増加は進み, 3週間後では, オロット酸添加群の肝脂質量は差がなくなり, CBHの肝脂質蓄積抑制はほとんどみられなくなった。 3) オロット酸添加による肝肥大が観察されたが, CBHは他の食物繊維標品に比べ, オロット酸の吸収阻害はみられず, オロット酸投与ラットにおける肝脂質の蓄積を抑制する作用を有するものと推定した。