比較的低濃度で投与したエタノールのエネルギー源としての利用, 血清・肝臓成分とN-出納に与える影響を検討した。4週齢のSprague-Dawley系雄ラットに14.5%全卵タンパク質を含む対照飼料とそのグルコースを4, 8, 16, 24%相当分だけのエタノールで段階的に置換した飼料にいずれも寒天溶液を加えて半固形状にした各実験飼料を2週間投与した。体重増加, 飼料摂取量, 副睾丸周辺脂肪組織は24%エタノール群で低値を示したが, その他の群の体重増加量はエタノール添加量の上昇に従って明らかな増加傾向があった。盲腸内容重量は16, 24%エタノール群で増加した。血清のタンパク質濃度, GOT, GPT, LDH等の酵素活性は各群間に大きな差はみられなかった。血清トリグリセリド, β-リポタンパク濃度は24%エタノール群で高値を示したが, 他群間に差はみられなかった。血清HDL-コレステロール, 肝臓トリグリセリドは24%エタノール群で低値を示したが, 血清と肝臓の総コレステロール, リン脂質は各群間に差はなかった。N-出納は対照群から16%エタノール群までは有意差はないものの, エタノールの添加レベルに応じて上昇の傾向がみられた。しかし, 24%エタノール群では明らかに他群より低下した。これらの結果はエタノールが飼料中16% (エネルギーとして26%) 以下の場合にはエネルギーとして効率的に利用され, N-出納に対してもマイナス影響を及ぼさないものと推定された。