ラットに継続的に10%ショ糖液を5カ月間自由飲水させ, in situ 腸管腔灌流を行いショ糖の吸収速度および吸収量 (率), および刷子縁膜のsucrase活性を測定して, ショ糖過剰摂取におけるショ糖の消化吸収過程を比較検討し, 以下の結果を得た。 1) ショ糖の消化に関して, 刷子縁膜のsucrase活性は, 精製水群では1.22±0.44 (mean±SD, μmol sucrose hydrolyzed/mg・protein・h) に対してショ糖群は2.12±0.58を示し, 有意の差 (p<0.001) でsucrase活性の増加が認められ, 精製水群の約1.7倍であった。 2) ショ糖の吸収に関して, 精製水群では, 小腸粘膜からのsucrose消化吸収量は29.2±0.4mgで吸収率は28.4%を示した。ショ糖群では, 45.0±6.7mgで吸収率は43.9%を示し, 精製水群の約1.6倍であった。 3) ショ糖の消化に関するsucrase活性と腸管腔灌流実験のショ糖吸収の相関関係は, 精製水群およびショ糖群とも正の相関関係が得られた。 以上の結果から, 刷子縁膜のsucrase活性ならびにglucose輸送能も上昇し, ショ糖の消化吸収がより効率的になされていることが示唆された。したがって, sucrase活性を測定することにより, in situでのsucroseの消化吸収をもある程度予測しうることが見いだされた。