直接甘酢液に漬けたA法, 食酢に1週間下漬後甘酢液に漬けたB法, 食塩水に2週間下漬後甘酢液に漬けたC法の3加工法によって調製したラッキョウの各加工過程における成分変化と味覚を比較検討した。 1) 甘酢液に漬けると, A法のラッキョウでは, 徐々に成分変化がおこり, 3週間で成分はほぼ一定値になるが, B法, C法のラッキョウでは, 1週間で成分が一定値となった。いずれの加工法とも3カ月めまでは大きな成分変化はみられなかった。 2) ラッキョウの硬度は, 調製3週間めまでは増加するが, 4週間めには低下し, 歯ざわりのよい状態になった。このころから約2カ月間が食べごろであると考えられた。 3) 食べごろである調製4週間めのラッキョウの成分で加工法による差がみられたのは, 還元糖, 酸度, 食塩であった。B法, C法によるラッキョウは, A法によるものに比べて, 還元糖が多く, 酸度も高かった。しかし食塩は逆に少なく, とくにB法によるラッキョウは, A法の65%にすぎなかった。また官能テストの総合判定では, B, C法によるラッキョウがよい評価となっていた。このことからB法のラッキョウは, 減塩対策の一つにとりあげられると考えられた。食べごろの調製4週間めのラッキョウは, 生重100g当りではいずれの加工法でも生ラッキョウに比べてカルシウム, ビタミンB1, アスコルビン酸が約半分になり, リンは, 約2倍に増えていた。 4) 調製3カ月以後の貯蔵期間では, ラッキョウの硬さ, 化学成分が徐々に減少し, 加工法による差がみられなくなった。また, 官能テストの総合判定でも, 加工法による差はなくなり, やや悪い評価となった。