1) 厚生省の食品添加物摂取量調査のため, マーケットバスケット方式に従い, 1983年10月下旬には加工食品, 1985年10月下旬と1986年5月下旬には生鮮食品について各種食品を札幌, 仙台, 東京, 甲府, 長野, 名古屋, 大阪, 和歌山, 松江, 高松, 北九州の10地域 (12機関) の店頭で購入し (ただし1983年, 1985年は名古屋, 高松を除く) 1人1日喫食量に相当する試料量を採取し, 各食品群毎に集め, トコフェロール同族体含量を分析し, 1日摂取量を求めた。 2) 秋~冬時期における総トコフェロールの平均1日総摂取量は17.12mgであり, 加工食品からの寄与が87.5%と大きく, 同族体比ではα-Toc: 31%, β-Toc: 8%, γ-Toc: 56%, δ-Toc: 5%となりα-Tocとγ-Tocが全体の87%を占めた。 3) 加工食品では食品群ごとに同族体の種類と構成比がかなり変化に富んでおり, その主構成成分はγ-Tocであったが, 生鮮食品の同族体組成は比較的単純で, α-Tocが76%を占め, 両者間に構成比の特徴的な差がみられた。 4) Bieriらの式から求めたトコフェロールの1日総摂取量の生理活性合算値 (α-Toc Eq.) は6.71mgであった。 5) 総トコフェロールの1日総摂取量の購入機関 (地域) による差は最小と最大で2.9倍であったが, この両者を除くと他の機関の値は比較的一定しており, 地域差は顕在化しなかった。 6) 生鮮食品の場合, 春~夏と秋~冬の両時期における4種同族体および総Tocの1日総摂取量に差はないと判断された。