成熟ラットを糖質比率を変化させた食餌で飼育した場合の, 小腸粘膜二糖類水解酵素活性ならびに, 反転腸管を用いて水解された二糖類由来のグルコースによるNa+依存性の誘発電位 (ΔPD) を観察して, 消化と吸収過程の関連性について検討した。 1) 小腸粘膜のマルターゼ, スクラーゼ, イソマルターゼ活性ならびにトレハルロースの水解活性は, 摂取する糖質量の増加に対応して増大していた。しかしながら, トレハラーゼ活性はまったく影響を受けなかった。 2) 糖による誘発電位 (ΔPD) は, グルコース, マルトース, スクロース, イソマルトース, トレハロースならびにトレハルロースのすべての糖において, 摂取糖質量の増大に伴って増大した。また, グルコースによるΔPDと各二糖類によるΔPDの間には高い正の相関がみられた。 3) 5%食群ならびに70%食群の場合にも, 二糖類水解活性の基質のKm値には変化はなく, Vmax値に変動がみられた。一方, 糖による誘発電位のKt値は, いずれの群も同様であったが, ΔPDmax値は70%食群において増大しており, 質的よりはむしろ量的な変動を示した。