ユーグレナ中に高度不飽和脂肪酸が含まれ, 全脂質の30~40%をしめた。 光独立栄養では, リノレン酸が多く, 従属栄養では, アラキドン酸, エイコサペンタエン酸が多くなった。 それぞれの含量は, 15, 10~15, 3~5mg/g乾重量であった。 これらの脂肪酸は, いずれも極性脂質画分に含まれ, ペリクル, 細胞膜複合体では, オレイン酸, 葉緑体では, リノレン酸ミトコンドリア, ミクロゾームでは, アラキドン酸, エイコサペンタエン酸が含まれていた。 光と酸素濃度と不飽和脂肪酸生成との関係について検討したが, 光はリノレン酸生成のみに関与し, アラキドン酸, エイコサペンタエン酸生成にはまったく関与しなかった。 低酸素濃度では, 飽和の脂肪酸とくにミリスチン酸がワックス・エステルの主成分として多量に含まれていた。 ユーグレナは, かく必須脂肪酸を多く含むのですでに明らかにしたように, 単に高タンパク質源として, またビタミンC, E, β-カロチンの給源としてだけでなく, 栄養的にすぐれた健康食品や, 家畜飼料などへの利用の可能性があることを考察した。