オキアミ摂取がラットの消化管からの鉄吸収や鉄栄養に関係する血液性状に与える影響を成長期のwistar系雄ラットを用いて検討した。実験飼料は凍結乾燥生オキアミと煮熟オキアミをいずれも20%と30%タンパク質の2段階レベルで添加したものを調製, 対照として, これらオキアミ飼料に等しいレベルのタンパク質と鉄を含むカゼイン飼料を調製した。これらの飼料を4週間投与後, 体重増加量, 血球数, ヘモグロビン濃度 (Hb), 血清鉄濃度 (SI) 等を測定した結果, 等しいタンパク質レベルについて比較するとき, これらの値は両種のオキアミ群では対照群より低く, とくに煮熟オキアミ群では著定い低下を示した。実験期の最後の9日間の見かけの鉄吸収率は, 生オキアミ群と対照群は比較的似ていたが, 煮熟オキアミ群では負の値を示し, 鉄吸収の著しい阻害作用のあることが推定された。 この鉄吸収阻害と甲殻の関係を見るため, 大正エビの生甲殻と煮熟甲殻の乾燥粉末を各10%添加した飼料と濾紙粉末添加の対照飼料を3週間投与した各群のHb, SIを比較した。生甲殻と対照群では差は認められなかったが, 煮熟甲殻群ではSI, Hbは対照群より低い傾向を示した。 これらの結果から, オキアミ中には鉄の吸収を阻害する成分が存在するらしいが, それは甲殻である可能性が強く, 加熱処理により活性化されるものと推定されたた。