ジャガイモデンプン粒のラット消化機能におよぼす影響を理解するために, 風力分級により分別された粒径の異なる完熟デンプン粒の性質と, ラットによる消化性について検討を行なった。その結果は次のとおりである。 1) X線回折図, アミロペクチンの単位鎖長分布の測定から, デンプン粒の性質は, たとえ粒径が異なっても, 構造的にはほとんど差がないようであった。また示差走査熱量 (DSC) 分析より, デンプン粒の糊化開始温度は, 各粒径ともに変わらなかったが, 糊化に要する吸熱量 ΔH は, 粒径が小さくなるほど少なく, また糊化終了温度は, 粒径が小さくなるほど高くなることが示された。 2) ジャガイモデンプン粒の豚パンクレアチンによる消化性は, 粒径が大きくなるほど, その分解率が悪くなる傾向がみられた。ラットに50%のジャガイモデンプン粒を含む飼料を6日間, 自由に摂食させ消化性と消化酵素活性について測定した。消化性は, in vitro の実験結果に近い傾向が示された。また膵臓中のα-アミラーゼ活性は, ジャガイモデンプン粒摂取により低下するがその際, 粒径の大きなデンプン粒を与えるほど, 活性がより低下することが明らかとなった。