1) 水および食塩水摂取が尿量, 尿中電解質排泄に及ぼす影響を知る目的で実験を行なった。 2) 日常の食塩摂取量が多いとされる日本人青年男子 (19~25歳) に10時間以上摂食摂水制限を行なった後水 (n=34) または0.9%食塩水 (n=32) 500mlを経口摂取させ, 摂取後4時間にわたって経時的に採尿し, 尿量, 尿中ナトリウム (Na), カリウム (K) 濃度を測定し, 尿量, 尿中NaおよびK排泄率の経時変化と, 摂取後4時間のそれぞれの総排泄量について検討を加えた。 3) 水摂取により水利尿が観察された。水摂取後, 尿量, NaおよびKの尿中排泄率が増大し, 摂取後2時間目から4時間目までこれらの値は一定となった。 4) 食塩水摂取により水利尿が抑制された。食塩水摂取後, 尿量, NaおよびKの尿中排泄率が増大した。摂取後1時間30分から4時間までの間, これらの値は一定値を示し, Naの尿中排泄率はこの期間, 水摂取後の値より有意に高値を示した。 5) 食塩水摂取後2時間目から4時間目までの各30分尿のNa濃度とNa/K比は正相関を示した。 6) 以上の結果より, 腎における水・電解質の排泄機構, 食塩過剰摂取と水・ナトリウム体内貯溜機構, および, 適正食塩摂取量に関し考察を加えた。