生活リズム撹乱モデル実験系として連続暗黒飼育条件を用い, 成長期雄ラットの生殖器官発達に与える飼料中栄養素量の影響に関し, 基礎データの蓄積を行っている。本実験では飼料中水溶性ビタミン, 脂溶性ビタミンの影響について検討した。実験動物はフィッシャー系4週齢雄ラットとし, 連続暗黒下にて, 明暗飼育条件, 飼料中水溶性ビタミン量, 脂溶性ビタミン量を因子とする3元配置実験計画法により実験を実施した。飼料中の水溶性, 脂溶性ビタミン量は標準量の1/3.3量, 標準量, 標準量の3倍量の3水準とし, タンパク質量は9%カゼイン, その他の成分はAIN-93G飼料に準じ, 4週間飼育した。対照群は正常明暗飼育 (12時間明期, 12時間暗期) とし, 生殖器官重量および血清テストステロン濃度を測定した。精巣重量には明暗飼育条件の影響および明暗飼育条件, 水溶性ビタミン, 脂溶性ビタミンの交互作用が認められた。連続暗黒飼育群において, 精巣重量を最大にする飼料は「高水溶性ビタミン, 低脂溶性ビタミン飼料」, 最小にする飼料は「標準水溶性ビタミン, 標準脂溶性ビタミン飼料」であった。一方, 正常明暗飼育群では, 「標準水溶性ビタミン飼料, 標準脂溶性ビタミン飼料」で最大となった。血清テストステロン濃度には, 検討した因子の有意な影響が認められなかった。生活リズム撹乱モデル実験系である連続暗黒飼育下では, 生殖器官の発達に必要なビタミン量が変化し, 水溶性ビタミンの必要量は増加, 脂溶性ビタミンの必要量は低下することが示された。