嫌気性処理水中にはバイオガスのメタン分圧に相応するメタンが溶存している.Down-flow Hanging Sponge (DHS)リアクターによって嫌気性下水処理水が後段処理された場合,流入溶存メタンはどのような挙動を示すのか調査した.溶存メタンはDHSリアクター上部で速やかに減少し,流下2mの中間位置では検出されなかった.リアクター上部から1m付近でメタン酸化細菌の検出が最も高く,メタン酸化ポテンシャルも最大値を示した.溶存メタンの消失を記述する数学的モデルを構築し,メタン物質移動係数とメタン酸化活性を用いてシミュレーションを行ったところ,メタン酸化よる溶存メタン消失の寄与は,僅か約5%であった.DHSリアクターにおいては流入溶存メタンのほとんにどは大気に放出されることがわかった.